フレンチコネクション


さんさ踊りが終わってお盆を迎えると、秋の気配が漂ってくる。
「こういうカクテルが美味しい季節が近づいてきましたね」
と話しつつ、マスターが「フレンチ・コネクション」をつくってくれた。
「元々は映画から名前をもらったんですよね」
「ああ、『ゴッドファーザー』と同じ時期につくられた映画だよね… で、カクテルの『ゴッドファーザー』のウイスキーをブランデーに換えただけのモノだから、そんな名前が付いたんだ、確か」
「フレンチ・コネクション」と言えば、60~70年代に人気を博したいわゆる「アメリカンニューシネマ」の代表作だ。
オレは大人になってからテレビで観ただけだが、なかなか鮮烈だった記憶がある。
「話では、その頃のハリウッドは今と違って金が無かったらしいんだよね。だから、制作費を減らしたい映画会社と、ヒット作をつくって名を上げたいハングリーな若モノたちの利害がピッタリ合って、数々の実験的名作が生まれたんだ。オレも『卒業』や『タクシードライバー』は何回か観たなあ…。」
そこに共通しているのは、孤独感や疎外感だ。
そして、ほとんどの作品で主人公は変人扱いされる。
理解者の少ない中で己の中の「何か」を信じ、時には巨悪に、時には偏見に立ち向かう。
考えてみればスティーブ・ジョブズも、あの時代の若モノだ。
このカクテルが上品に見えて意外とアツく感じるのは、あの時代の空気を閉じ込めているからなのかもしれないなあ。
「…もうちょっと、自分を信じてみようかな」
「何かおっしゃいました?」
「あ、いや、もう一杯、ください…」フレンチコネクション


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