マティーニ


カクテルマティーニ

今この世の中で「カクテルの王様」と言えば、間違いなくマティーニであろう。
味はもちろん、シンプルで美しいフォルムは、酒飲みはもちろん、小説家や映画人などを魅了してきた。
「伝説があり過ぎて、何をどう言って良いのか困りますね(笑)」
マスターが笑う。そう、彼の言う様に、シンプルなだけに使う銘柄やつくり方によって味が微妙に変わるのがマティーニなのだ。
バーテンダーの数だけ味があると言われる所以である
「ジンって、昔は評判が悪かったらしいね…。特にイギリスでは多数の死者や廃人を出したとか」
かつてイギリスでは粗悪なジンが大量に出回ったが、値段が安かったこともあり、その被害にあったのは主に貧しい庶民であった。
もちろん、今のジンはそんなことはないが、我々一般庶民が買い求めることはほとんどないであろう。
そしてそれは相方であるヴェルモットも同じである。そんな冴えない(失礼!)二つの酒が出会って生まれたのがマティーニなのだ。
まさに「みにくいアヒルの子」を地で行くストーリーである。
「究極の人材活用…かな(笑)」
「今の時代に意外と通じているかもしれませんね」
いくら見ても飽きないその姿を見つめながら、突然オレは思った。
「もうすぐ春がやってくるなあ」
人生何回目の春なのかはわからないが(笑)、春というのはいつでもウキウキするものである。
こんな寒い土地に住んでいると、余計そう感じるのかも。