フローズンダイキリ


フローズンダイキリ
「フローズンダイキリ」という言葉を初めて聞いたのは、高校生の頃だったと思う。
当時好きだったマンガの主人公(高校生)が行きつけの店で、「暑いなぁ… フローズンダイキリでもくださいな」というセリフを呟くのだ。
今から考えると許されるシチュエーションではないんだろうが、大らかな時代だったということだろう。
「まあでも、フローズンなんて若い女たちが飲むものですからねえ。わかるような気がします」
マスターが、いろんな意味でバーテンダーらしい解説を入れてくれる。
少なくとも君は… ま、いいか。
「あれ、今日は早いじゃない」
あ、このバーのオーナさんではないか。
もちろん、現役のバーテンダーで、この店とは違う自分の店のカウンターに立っている。
実は何を隠そう、彼とオレとは高校の同級生である。
ウソのような本当の話だが、高校時代のオレは優等生だったので、酒を飲むことなんてなかった。
彼はまあ… こういう仕事だからなあ。
「でも今はこうして立派な酒飲みになっているんだから同じじゃないか(笑)」
「…働けよ」
クスッと笑う声がカウンターの中から聞こえて来た。
「夏」。
現在と過去が繋がる季節。
久しぶりの再会も多く、挙句の果てはご先祖様までが帰ってくる。
思えば「懐かしい」という言葉には、「なつ」が入っているではないか。
思い出話が増えて、今のこの時が夢なのか現実なのかわからなくなってしまうのは、決して酔っているせいだけではないので